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一匹のサナギがいた。男の子が歩いてきて、そのサナギを見つけた。サナギは殻を破って外に出ようとしていた。男の子は興味深く見ていたが、1時間たってもなかなか出てこない。男の子はかわいそうになった。そこで、カバンの中にあったハサミを取り出し、固い殻を切ってあげた。すると蝶はいとも簡単に殻から出てくることができた。
でも、なんか変だ!蝶であるはずなのに、羽はぐちゃくちゃで縮んでいて、胴体は大きく膨れ上がっていた。もはや蝶とは言えない生き物だ。羽は小さく、胴体はでかい。もちろん飛ぶこともできない。結局その蝶は、デカい胴体を引きずりながら、もぞもぞと歩いて、その場から去っていった・・・。
男の子は、そのサナギを助けたかった。しかし、蝶にとっては大変危険なことだった。蝶は殻から出るときに、もがくことで飛べるようになるという。胴体にある養分を羽にもっていき、羽を成長させる大事な過程なのだ。それを男の子に奪われてしまった。殻の中で、もがいてもがいてきれいな蝶になろうとしていたのに・・・。
「もがく」という過程は非常に苦しい。しかし、同時に最も大切な作業でもある。苦しいからやめるのではなく、苦しいからこそ、それを乗り越えたときに素晴らしい「ご褒美=成長」があるのだ。